やけどをしたときの注意

 「熱傷」(ねっしょう、やけど)とは、誰しも一度は経験するといっても過言ではないほどよく見られる外傷の一つです。原因は日常生活の中に潜んでいるものが大部分を占め、熱いコーヒーやお茶をこぼしたり、ストーブやアイロンに触れる、炊飯器から出る高温蒸気に手を出すなど、東京都熱傷救急連絡会の統計では、2歳未満の乳幼児が受傷する割合が最も多いのが現状です。しかし、これらの原因は、日頃から生活の中で気を配ることにより未然に予防できるものがほとんどです。
 例えば、炊飯器の高温蒸気による熱傷は1歳未満の受傷が圧倒的に多く、その後ひきつれをきたし手術を要する例が急増しています。その原因として、炊飯器を子供の手の届く床に置くことのほかに、電気コードが引っかかりやすい場所にあったりテーブルクロスなどを引いてあることなどで炊飯器を倒してしまうことも考えておく必要があります。
 それでも熱傷を受傷してしまった場合には、あわてて医療機関を受診する前に、受傷後いかに早く適切な処置(応急処置)を行えるかどうかが、熱傷による傷を大きくしないために最も重要になります。熱傷は熱による組織の傷害です。そのため、まず患部(局所)の冷却を行うことが重要で、疼痛の緩和、炎症の抑制、感染の防止などに効果があります。また、患部を氷で直接冷やすのは、患部を過度に冷やすことにより凍傷 (とうしょう)をまねく可能性があるため好ましくありません。氷嚢やアイスノンなども、患部には直接触れないように清潔なタオルなどで包んで使います。患部を冷やしたあとは同部を清潔なタオルなどでおおい、すみやかに医療機関を受診するようにします。
 民間療法で熱傷に効果があるとされているアロエ、野菜、味噌などを患部へ直接に貼ったり塗ったりするのは、清潔保持の面からは好ましいことではありません。局所から侵入した細菌により生じる傷の感染は熱傷を深くする原因になり、破傷風菌(はしょうふうきん)が侵入した場合は時に致命的になるので注意が必要です。
 さらに、ある種の消毒薬など患部に色がついてしまうような物を使うと、患部の状態がわかりにくくなり、診断の妨げになります。
 また、患部に水疱(すいほう)(水ぶくれ)ができてきた場合には、可能なかぎり水疱を温存するよう患部の保護に努めるべきです。以前は水疱を除去することが一般的でしたが、近年になって水疱液に皮膚再生の成分が含まれていることがわかり、これを残して治療するようになってきました。熱傷は治っても肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)(ケロイドなど)を形成し、かゆみ、痛みの原因になったり、美容上の問題が生じる場合もあります。誤った自己判断が、熱傷による傷を悪化させてしまう可能性があります。



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