気道熱傷とは

 気道熱傷とは、熱や煙の吸入により生じた呼吸器系の傷害で、さまざまな原因による傷害がすべて含まれます。「熱傷」というと熱による傷害を連想しますが、気道熱傷の多くは、燃焼によって生じた煙に含まれる有毒化学物質が気道(呼吸の際の空気の通り道)に付着することにより生じるとされています。熱による直接の傷害はのどの奥(咽頭・喉頭)までにとどまりますが、有毒化学物質によるものはそれより先の気管・気管支・肺の傷害が主になります。
 傷害を受ける部位により分類すると、咽頭・喉頭浮腫(はれ)が主体の上気道型、気管・気管支が傷害を受ける気管・気管支型、肺炎が主体の末梢型に分類されますが、後二者の区別は困難なことも多いのが実状です。多くの場合、受傷早期には比較的症状が軽いのですが、時間が経過するに従って症状が増強し、24-48時間後には肺水腫などの重篤な呼吸器症状を呈してくることが多いので注意が必要です。また、重症な上気道型の気道熱傷は、咽頭・喉頭浮腫による上気道の閉塞が早期に起こりやすく、最悪の場合は窒息による呼吸停止をまねくこともあります。
 室内や車内などの閉鎖された空間で火災による熱気や煙を吸入した場合には、皮膚熱傷の有無にかかわらず、気道熱傷を疑わなければなりません。また、一酸化炭素中毒の合併にも注意する必要があり、意識障害が現れることもあります。口や鼻の周囲に熱傷がある、鼻毛が焦げている、口腔や鼻腔内にススが付着した場合などは、気道熱傷の可能性を疑うべきです。さらに、ススの混じった痰、嗄声(しわがれ声)、喘鳴(ヒューヒューといった呼吸音)などがある場合は、気道熱傷の存在は強く疑われます。火災などで焼け出され、このような症状があった場合には、必ず熱傷専門施設で治療を行う必要性があります。

 



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